米国外共同研究の監視が引き起こした波紋…遺伝学の権威ジョージ・チャーチも著者リストから自主的に撤退

背景
米国政府が国内予算が投入された科学研究の海外協力に関する規制を大幅に強化し、学界に大きな衝撃を与えている。特に米国立保健研究所(National Institutes of Health, NIH)は、最近発表されたガイドライン(NOT-OD-26-084など)に基づき、海外の研究機関との協力を、事前に届け出を行わない「海外要素(Foreign Component)」として扱うようになった。従来は、海外の大学や研究所と共同でデータを検討したり、議論したりすることは、学界の一般的な慣例として認められていたが、現在では、事前の承認を得ずに海外の共同研究者を論文の著者リストに記載すると、研究費の回収や監査手続きにつながるリスクがある。これにより、米国の遺伝学およびバイオテクノロジー業界は、政府の支援金が完全に停止されたり、知的財産権の漏洩の疑いで調査を受けたりする可能性があるという極度の不安に包まれている。
主要な発見
この厳格な規制の対象となったのは、世界で最も影響力のある遺伝学者の一人であるハーバード大学医学部(Harvard Medical School, HMS)のジョージ・チャーチ教授でさえもだった。チャーチ教授は、海外の研究機関に所属する共同研究者と準備していた遺伝学の論文から、自身の名前を著者リストから削除し、単なる「謝辞(Acknowledgements)」のセクションに移動させた。これは、規制当局の事前の承認手続きを踏まずに共同著者として名前を記載した場合に発生する可能性のある行政的な不利益を回避するための苦肉の策と見られている。世界的な学者が共同研究論文の著者リストから除外されるという前例のない事態が発生し、一緒に参加していた他の米国内の研究者たちの間で大規模な離脱が引き起こされた。彼らもまた、自身が標的にされることを懸念し、論文の撤回や著者からの辞退を求める「研究者の大脱出(exodus)」という現象が起きた。米政府の一方的な規制基準が、学術的なコミュニケーションを妨げ、研究生態系を崩壊させる触媒となっているという批判も提起されている。
意義と展望
米政府が知的財産権の保護と安全保障の強化を掲げて推進している安全保障ガイドラインは、国益の保護という名目にもかかわらず、学界の自律性を大きく損なっているという指摘を避けることはできない。グローバルな協力が不可欠なゲノム研究などの先端バイオ分野において、科学交流が停滞し、米国の科学界の孤立を加速させる懸念が生じている。すでにカナダ、フランス、オーストラリアなどの主要国は、このような米国の厳格な規制を好機と捉え、優秀な人材を引き付けるために移民制度を改正するなど、優秀な科学者の誘致に積極的に取り組んでいる。今後、米政府が研究の安全保障とオープンな科学交流のバランスを見つけられない場合、基礎科学分野の研究の長期的な停滞に加えて、国家競争力の低下という副作用につながる可能性がある。
ジョージ・チャーチが論文の謝辞セクションに移動し、研究者の離脱を引き起こした
今回の事態は、国内外のバイオ企業および研究機関のグローバルな共同研究開発(Research and Development, R&D)戦略に即時の調整を求める。特に、米国の大学や現地研究者と共同で米政府の支援プロジェクトを実施している韓国の機関は、事前の承認手続き(prior approval)の抜け漏れがないかを綿密に検討する必要がある。米国立保健研究所(NIH)などの支援機関から承認を得ずに、論文や特許に共同研究者として記載されることは、規制違反とみなされるリスクが高い。したがって、両国の研究者は、研究の企画段階から、共同著者の貢献度および研究者の所属を明確に整理した文書を作成し、行政的な摩擦を防止する必要がある。このように、国ごとの規制制度を事前に把握し、柔軟に対応する法的規制遵守(Compliance)能力が、国家間のバイオ融合研究の成功を左右すると予想される。