ノボ ノルディスクのジルチベキマブの第3相試験が失敗、心血管炎症新規薬剤の価値を再評価

ZEUS第3相試験で臨床的有用性が証明されず
ノボ ノルディスクA/S(NVO)のジルチベキマブ(COR-001)は、商品名が設定されていない月1回の皮下注射型のインターロイキン-6リガンド(IL-6リガンド)モノクローナル抗体です。6,376人を無作為に割り当てた第3相ZEUS試験(NCT05021835)では、アテローム性心血管疾患(ASCVD)、慢性腎臓病(CKD)、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)2mg/L以上の患者を対象に、心血管死、非致死的MI(心筋梗塞)、非致死的脳卒中からなる3点主要心血管イベント(MACE)を評価しました。ジルチベキマブは、IL-6とhsCRPを低下させましたが、主要評価項目であるMACEの減少を達成できず、バイオマーカーの改善が臨床イベントの予防につながるという開発の論理が揺らぎました。
安全性に関するシグナルと今後の臨床試験への影響
全体的な有害事象と重篤な有害事象の発生率は、プラセボ群と同程度でしたが、重篤な感染症はジルチベキマブ群で多く、死亡者数には差はありませんでした。免疫抑制のリスクを冒しながらも心血管効果を達成できなかった結果であり、今後の規制当局によるベネフィット・リスク評価の基準はより厳格になるでしょう。ジルチベキマブは、FDA、EMA、PMDAの承認や諮問委員会(AdComm)による審査の履歴がない臨床開発中の薬剤であり、心不全を対象としたHERMESおよびATHENA試験、急性心筋梗塞後の患者を対象としたARTEMIS第3相試験の結果は2027年に発表される予定です。
既存の治療法と競合パイプラインへの影響
ASCVDの標準治療は、高強度のスタチン、エゼチミブ、PCSK9阻害薬、抗血小板薬が中心であり、炎症標的治療としては、IL-1β抗体カナキヌマブ(Ilaris)とコルヒチン(Lodoco)が臨床的比較の基準となっています。直接的な競合製品としては、ノバルティス(NVS)のIL-6抗体パシベキトゥグの第2相試験と、CSL Limited(CSL.AX)のIL-6抗体クラザキズマブの第2b/3相試験があります。NLRP3阻害剤としては、BioAge Labs, Inc.(BIOA)のBGE-102が、160人を対象としたQUELL-CV第2相試験でhsCRPの変化を評価しており、Neumora Therapeutics, Inc.(NMRA)のNMRA-215も2026年に臨床試験に移行し、作用機序の差別化が重要なポイントとなります。
買収価値と市場の期待の再評価
ノボ ノルディスクは、2020年にCorvidia Therapeuticsを現金7億2,500万米ドル(規制当局への申請および売上高に基づくマイルストーンを含む最大21億米ドル)で買収し、ジルチベキマブを取得しました。ZEUS試験の失敗を受けて、同社は2026年第3四半期に非現金による減損損失を計上しますが、年間営業利益の見通しは変更しておらず、発表当日の株価は一時最大10%下落しました。2025年の主要7カ国におけるASCVD治療市場は240億米ドルと推定されていますが、大規模なイベントベースの第3相試験の失敗は、炎症バイオマーカーのみに基づいて市場価値を評価するのではなく、実際のMACEの改善を優先する評価への転換を促進します。
ZEUS試験は、6,376人を対象としたイベントベースの第3相試験で、IL-6とhsCRPの低下がMACEの改善につながらなかったことを示し、心血管炎症新規薬剤の臨床的および企業価値の評価基準を高めました。短期的に、ノボ ノルディスク(NVO)の非現金による減損損失と、BioAge Labs(BIOA)、Neurocrine Biosciences(NBIX)、Neumora Therapeutics(NMRA)の株価下落は、この分野全体のより高いリスクプレミアムを反映しています。中長期的に、240億米ドル規模の主要7カ国におけるASCVD市場への参入には、hsCRPの低下よりも、心血管死、心筋梗塞、脳卒中を直接的に減少させる結果が求められます。研究開発の観点からは、HERMES、ATHENA、ARTEMIS第3相試験とBGE-102第2相試験、パシベキトゥグ第2相試験の結果が、IL-6の失敗が適応症に特有のものなのか、それとも炎症経路全体の限界なのかを判断するための重要なデータとなります。
ソース: BioPharma Dive (rss)
https://www.biopharmadive.com/news/novo-nordik-ziltivekimab-zeus-study-results-corvidia/826695/