セルトリオン ヘルズマ、EU最終承認でHER2バイオシミラー競争加速

EU承認で商業化の関門突破
セルトリオン(068270)が開発したヘルズマ(Herzuma、trastuzumab)は、ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)を標的とするヘルセプチン(Herceptin)バイオシミラーアナログです。EMA管轄の薬物使用諮問委員会(CHMP)は2017年12月14日に肯定的意見を採択し、欧州連合執行委員会(EC)は2018年2月9日に全加盟国で有効な販売承認を付与しました。承認範囲はHER2陽性早期・転移性乳がんおよび転移性胃がんで、ヘルズマは開発段階を終え、ヨーロッパでの承認・販売段階に進みました。
549名の第3相臨床試験で同等性を証明
承認根拠には、HER2陽性早期乳がん患者549名を無作為に割り当てた第3相臨床試験NCT02162667が含まれています。手術前・後の補助療法において、ヘルズマとロシュ(ROG.SW)のヘルセプチンを比較した結果、計画書順応群の病理学的完全消失率(pCR)はそれぞれ46.8%と50.4%で、治療差の95%信頼区間は-12.38%から5.16%となり、同等性範囲内でした。EMAは品質・薬動学・有効性・安全性のデータを総合的に評価し、ヘルセプチンと臨床的に意味ある差がないと判断しました。別途諮問委員会(AdComm)の投票手続きは適用されませんでした。
21億スイスフラン市場の価格再編
ロシュの2017年ヘルセプチンヨーロッパ売上高は21億2,300万スイスフランで、当時の為替レートで約USD 21億ドル規模でした。バイオシミラーの参入は国ごとの病院入札や保険会社との交渉で薬価を下げる動きを促進し、HER2標的治療へのアクセスを高める一方で、オリジナル製品の売上を食い減らす構図です。患者側からは、同じ承認適応症と比較臨床根拠を持つ静脈注射代替品が追加されましたが、実際の切り替え速度は国ごとの処方・入札政策と医療従事者の受け入れに左右されます。
先発のオントゥルザントと直接競争
サムスンバイオエピスのオントゥルザント(Ontruzant、trastuzumab)が2017年11月に先にEU承認を取得し、ヘルズマは最初の参入者ではなく、二番目の承認製品として競争しました。その後、アムジェン(AMGN)のカージンティ(Kanjinti)、ファイザー(PFE)のトラジメラ(Trazimera)、バイオコンのオギブリ(Ogivri)が2018年に次々と承認され、価格・供給の安定性・流通網がシェアを分ける主要要素となりました。セルトリオンヘルスケアはモンディファーマ・バイオガラン・コンなどの既存のヨーロッパパートナーネットワークを活用し、ヘルズマは2018年12月14日にFDA承認と2018年9月21日に日本承認を取得し、規制範囲を拡大しました。
ヘルズマのEU承認は、セルトリオンが第3相臨床試験完了資産を承認・販売段階に移行させ、2017年ヨーロッパ売上高21億2,300万スイスフランのヘルセプチン市場に参入した出来事です。短期的にはオントゥルザントとの病院入札競争、供給の安定性、国ごとの純価格が売上浸透速度を決定します。中長期的にはカージンティ・トラジメラ・オギブリの参入による多角競争が治療アクセスを拡大する一方で、バイオシミラー事業者の価格とマージンを圧迫します。研究者と臨床現場には、549名の第3相臨床試験で確認されたpCR同等性とHER2陽性乳がん・胃がん両適応症の承認が、代替処方と実際の臨床データ蓄積の根拠を提供します。