Capricor(CAPR)の承認遅延とKaosの介入、ビッグファーマのAI・ワクチン投資拡大

カプリコ(CAPR)のガバナンス再構築要求と経営圧力
アクティビストファンドのカオス・キャピタル(Kaos Capital)は、カプリコ・テラピューティクス(Capricor Therapeutics, CAPR)に対し、経営陣交代と非核心的支出の凍結を強く要請しました。この介入は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy, DMD)治療用の細胞療法薬デラミオセル(deramiocel)のFDA承認決定を1日後に控えたタイミングで行われました。諮問委員会による心筋症効果の否定的判定により、臨床筋骨格データを軸とした適応症修正が避けられず、承認遅延が懸念されています。カオス側は、単一資産に偏った開発リスクを減らすため、戦略的M&A委員会の設置を強く求めています。
BMSとChai DiscoveryによるAIベース抗体新薬開発協業
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol Myers Squibb, BMY)は、AIによる新薬開発能力を強化するため、有望スタートアップのチャイ・ディスカバリー(Chai Discovery)と戦略的協業契約を締結しました。両社は、チャイの独自分子折りたたみモデルを活用し、従来技術では攻略が困難な多膜貫通タンパク質などの標的に対する抗体候補物質を迅速に開発することに合意しました。チャイ・ディスカバリーは企業価値38億ドル規模で、ファイザーなどとも提携を拡大しています。今回の契約は、NVIDIAとのAIセンター協力に続くBMYのデジタルトランスフォーメーション戦略の重要な一環となります。
エライ・リリー(LLY)のAmplitude Therapeutics育成とワクチン開発
エライ・リリー(Eli Lilly, LLY)は、自社インキュベーターのゲートウェイ・ラボス(Gateway Labs)に所属するアムプリチュード・テラピューティクス(Amplitude Therapeutics)と、次世代感染症ワクチン開発に着手しました。両社は、複製酵素と抗原コード領域を分離することで安全性と効力(potency)を大幅に向上させた自己増幅RNA(trans-amplifying RNA, taRNA)ワクチンの開発を進める予定です。リリーが全世界の臨床および商業化権利を独占保有し、追加ターゲットのオプションも確保しています。これは、リリーが感染症専門企業を買収しながら、予防ワクチン分野のパイプライン多様化を加速していることを示しています。
Kynexisの統合失調症認知障害治療薬KYN-5356の第2相進展
オランダの脳疾患専門企業カイネクシス(Kynexis)は、ノバティス・ベンチャーファンド主導のシリーズA延長投資により、4,000万ユーロ(合計9,700万ユーロ)の資金を確保しました。統合失調症患者の認知障害(Cognitive Impairment Associated with Schizophrenia, CIAS)治療薬として開発中のKAT-II阻害薬KYN-5356の第2相完了に、全資金が投入される予定です。KYN-5356は、脳内キヌレニン酸(kynurenic acid)生成を抑制し、認知機能を正常化させる分野内初の新薬です。未満足需要が大きいCIAS分野において、今年末に発表される第2相トップラインデータに業界の注目が集まっています。
Network Bioの5,000万ドル資金調達と医療AIモデル開発
医療データスタートアップのネットワーク・バイオ(Network Bio)は、セクション32(Section 32)主導で5,000万ドル規模の資金調達を完了し、公式に設立されました。同社は大規模医療機関のバイオバンクネットワークと提携し、患者の組織と血液データセットを構築し、汎用医療AIモデルを訓練する予定です。NVIDIAと協力して、細胞由来RNA(cfRNA)などマルチオミクスベースモデルの学習速度を加速化する計画があります。また、設立当初から大手ヘルスケア企業と3,000万ドル規模のAIモデルライセンス契約を結び、強力なビジネスモデルの価値を証明しました。
カプリコのデラミオセル(deramiocel)がFDA諮問委員会の否定的判定により承認が遅延している中、アクティビストファンドの介入が重なり、競合社サレパ(Sarepta)のエレビディス(Elevidys)が築いたDMD市場独占権が長期化する懸念が高まっています。一方、承認薬が存在せず市場性が大きい統合失調症認知障害(CIAS)市場を狙ったカイネクシスのKYN-5356は、4,000万ユーロの延長資金を基に第2相完了を目前に控え、ファーストインクラスの商業化期待が高まっています。BMYと38億ドル規模のチャイ・ディスカバリーとの提携、および5,000万ドル資金調達を確保したネットワーク・バイオの登場は、メジャー製薬企業が実験室スクリーニングを代替する形で生成型AIと大規模患者組織データを融合させるトレンドを加速化しています。リリーが確保したtaRNA技術は、従来mRNAに比べて高効率製造が可能で、次世代感染症予防ワクチン市場の主導権を握るための鍵となると予測されています。
ソース: BioPharma Dive (rss)
https://www.biopharmadive.com/news/capricor-kaos-bristol-myers-chai-lilly-amplitude-kynexis/828284/