ダイイチサンキョーの1日1回抗凝血薬リキシアナ(エドクサバン)、欧州EMAから最終承認を取得
欧州市場への本格参入と規制承認の意義
ダイイチサンキョー(Daiichi Sankyo)が開発した経口用Xa因子阻害薬(Factor Xa Inhibitor)「リキシアナ(Lixiana、有効成分名エドクサバン・Edoxaban)」が、欧州医薬品庁(EMA)から最終承認を取得し、欧州市場への本格参入が決定しました。今回のEMA承認は2015年6月19日に正式に発表され、非弁膜性心房細動(Non-valvular Atrial Fibrillation)患者の脳卒中予防および深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis)および肺塞栓症(Pulmonary Embolism)を含む静脈血栓塞栓症(Venous Thromboembolism)の治療および予防を適応症としています。従来の標準治療薬であったワルファリン(Warfarin)に比べて服用の利便性と安全性が大幅に改善された新薬が、欧州内30か国以上の市場に投入されることで、患者に新たな治療オプションを提供します。
大規模3相臨床試験で証明された有効性と安全性
今回の承認の科学的根拠は、約3万人の患者を対象とした2つの大規模3相臨床試験「ENGAGE AF-TIMI 48」と「Hokusai-VTE」の結果に基づいています。21,105人の患者を対象としたENGAGE AF-TIMI 48試験では、リキシアナ60mg(1日1回)はワルファリンに比べて脳卒中および全身塞栓症予防効果において非劣性(Non-inferiority)を証明し、同時に主要出血(Major Bleeding)リスクを20%削減する優れた安全性プロファイル(HR 0.80、95%CI 0.71-0.91、p<0.001)を示しました。また、8,292人の患者が参加したHokusai-VTE臨床試験でも再発性静脈血栓塞栓症予防率において非劣性(HR 0.89、95%CI 0.70-1.13、p<0.001)を達成し、主要および臨床的に意義のある非主要出血(CRNM出血)の割合はワルファリンに比べて8.5%で、対照群の10.3%に比べて優位性(HR 0.81、p=0.004)を示しました。
グローバル抗凝血薬市場の動向と競合構図
リキシアナの承認は、バイエル(Bayer)のザレット(Xarelto、有効成分名リバロクサバン・Rivaroxaban)およびBMS・ファイザー(BMS・Pfizer)のエリキス(Eliquis、有効成分名アピクサバン・Apixaban)が占めているグローバル直接作用経口抗凝血薬(DOAC)市場の地図変動を予告しています。グローバルDOAC市場規模は200億ドル(USD)から400億ドルを越えて継続的に成長している魅力的なバイオセクターです。リキシアナは競合薬品と比較して1日1回服用という利便性とアジア人患者データにおける優れた安全性を武器にシェア拡大を図っています。特に腎機能(クレアチニンクリアランス)に応じた精密な用量調整ガイドラインを提供することで、臨床現場での処方信頼度を高め、市場浸透の鍵戦略となる見込みです。
ダイイチサンキョーの中長期的な成長動力の確保
リキシアナはダイイチサンキョーの次世代の主要パイプライン(Pipeline)として、会社のグローバル売上成長を牽引する中長期的な成長動力として確かな地位を築く可能性が高いです。すでに日本およびアメリカ(商品名サバイサ・Savaysa)で規制の関門を越えた後、欧州市場まで領域を広げることで、多国籍製薬会社としてのグローバルプレゼンスを一段と強化しています。特許切れを目前にした従来の主力製品の売上空白を埋めるだけでなく、年間数十億ドル規模のブロッカー新薬として成長し、会社の財務健全性強化に大きく貢献すると評価されています。
ダイイチサンキョーの「リキシアナ」の欧州承認は、200億ドル以上のグローバルDOAC市場においてエリキス(BMS・Pfizer)およびザレット(Bayer)との本格的な3者競争を開始する契機となります。投資家視点では、既存主力医薬品の特許切れに伴う売上空白を埋め、年間グローバル売上が数十億ドル規模のブロッカー新薬を追加し、ダイイチサンキョーの中長期的なキャッシュフローを強化する効果があります。臨床研究者視点では、ENGAGE AF-TIMI 48およびHokusai-VTE 3相試験でワルファリンに比べて優れた安全性(主要出血リスク20%削減、HR 0.80)を証明したエドクサバンのデータが、Xa因子阻害薬の臨床的安否基準を一段引き上げる事例として分析されます。業界関係者視点では、腎機能に応じた精密用量調整ガイドラインが新薬承認および処方指針に与える影響を把握する上で重要な規制的マイルストーンとなるでしょう。短期的には欧州30か国以上の市場参入による処方額拡大を、中長期的にはグローバル心循環器治療薬市場におけるダイイチサンキョーの地位強化を期待できます。