📈 強気🌐 グローバル

ダイイチサンキョー、ノバルティス元CMOジョン・ツァイ氏を招聘し、ADC 5年間突破戦略を開始

Daiichi Sankyo (4568.T / DSNKY), AstraZeneca (AZN), Merck (MRK)·FierceBiotech·2026年6月18日
企業臨床規制財務
ダイイチサンキョー、ノバルティス元CMOジョン・ツァイ氏を招聘し、ADC 5年間突破戦略を開始
AI Generated (Flux.1-schnell)
AI要約AI

ノバルティス元CMOの急な招聘

ダイイチサンキョー(東証:4568 / OTC:DSNKY)は、2026年4月1日よりジョン・ツァイ博士をグローバルR&D責任者に任命しました。ツァイ博士はノバルティス(NVS)で社長兼グローバル薬物開発責任者・CMOを務め、160件の新規プロジェクトと500件以上の臨床試験を指揮し、遺伝子治療薬・放射性リガンド療法(RLT)を含む15品目の新薬承認を導きました。以前はアムジェン(AMGN)のCMO、ブライトストーン・マイヤー・スリーブ(BMS、BMY)の後期開発責任者を務め、直前にはベンチャーキャピタルSynconaで腫瘍学・心血管・腎臓分野のバイオテック創業を主導しました。ビッグファーマのR&D実行力とVCのイノベーション感覚を兼ね備えたリーダーを、前任のケン・タケシタ博士の退任タイミングで配置したのは、パイプラインの拡充と外部イノベーションの導入を同時に加速するための布石です。

FY2026-2030 5年間計画の主要数字

2026年5月11日に発表された5年間事業計画の目標は明確です:FY2030の腫瘍売上高は2.3兆円以上(FY2025実績2.1兆円対比で+10%)、総売上高は3兆円突破、営業利益は6,000億円超、EPSは260円以上です。2035年までにグローバル腫瘍トップ5企業への進出という長期ビジョンも提示しました。そのためには5品目の腫瘍医薬品で20以上の新規適応症(indication)を確保し、2035年までに年間70万人以上の新規患者を治療するロードマップがあります。2030年代前半に営業利益1兆円突破を目標としており、現時価総額(約320~365億ドル)に対して相当な成長軌道を描いています。

DXd ADCプラットフォームのパイプラインパワー

戦略の核となるエンジンは自社のDXd ADC(抗体薬物接合体)プラットフォームです。看板製品エンハート(Enhertu、トラスツズマブ・デルクステカン、HER2標的)はFY2025のグローバル売上高が6,984億円(約48億ドル、前年比+26.3%)を記録し、FY2026の見通しは8,610億円です。現在7つの適応症が承認され、2030年までに12以上に拡大する計画があります。TROP2標的ADCダトロウェイ(Datroway、ダトポタマブ・デルクステカン)は三重陰性乳がん(TNBC)で2026年夏の承認が予想され、B7-H3標的ADCイフィナタマブ・デルクステカン(I-DXd)は小細胞肺がん(SCLC)でFDAの画期的治療法(Breakthrough Therapy)指定を受けた状態です。FY2026だけで乳がん4件・肺がん1件など計5件の新規発売が予定されています。

グローバルパートナーシップネットワークと競争構図

ダイイチサンキョーはアストラゼネカ(AZN)とエンハート(合計69億ドル、先払い金13.5億ドル、2019年)・ダトロウェイ(合計60億ドル、先払い金10億ドル、2020年)の2件のグローバル共同開発契約を保有し、メルク(MRK)とはHER3-DXd・I-DXd・R-DXdの3品目のADCについて合計220億ドル(先払い金40億ドル)規模の協力を結んでいます。ADC市場全体は2025年約156億ドルから2026年201億ドル、2033年321億ドルと急成長が予想されています。ファイザー(PFE)が430億ドルでシーゲン(Seagen)を買収し、Padcev・AdcetrisなどADC4品目+パイプライン14品目を確保し、アッビービオ(ABBV)もイムノジェン(ImmunoGen)を101億ドルで買収し競争に参入しています。ツァイ博士の主要な任務は、このM&A競争の中でDXdプラットフォームの技術的リーダーシップを維持することです。

💬なぜ重要か

ダイイチサンキョーのFY2030腫瘍売上高2.3兆円目標と営業利益6,000億円の見通しは、エンハートのFY2025売上高6,984億円(前年比+26.3%)の軌道とFY2026の5件の新規発売スケジュールを考慮すると達成可能な数値です。ジョン・ツァイ博士はノバルティスで15品目の新薬承認を指揮した実績があり、20以上の適応症拡大というパイプライン中心の成長戦略のR&D実行力を高める適任者です。競争面ではファイザー-シーゲン(430億ドル)・アッビービオ-イムノジェン(101億ドル)などの大規模M&AがADC市場(2026年201億ドル規模)への参入障壁を高めていますが、ダイイチサンキョーはアストラゼネカ(合計129億ドル2件)・メルク(合計220億ドル)とのパートナーシップで開発・商業化費用を分担しながら自社DXdプラットフォームの差別化を維持しています。時価総額約320~365億ドル規模で2030年代前半に営業利益1兆円(約70億ドル)のロードマップは、バリュエーション再評価の余地が相当あります。